無痛分娩の実際:無痛分娩の体験を詳細に記してみた

無痛分娩の選択

日本ではマイナーな無痛分娩だが、アメリカやヨーロッパでは無痛分娩が一般的で自然分娩の方が珍しい。日本で無痛分娩が少ない理由として、「痛みを乗り越えてこそ母になる」「おなかを痛めて産んだかわいい子」「皆痛みを耐えて頑張っている」などの根性論麻酔科医及び産婦人科医の少なさなどが原因とされる。無痛分娩を行っている産科病院が少なく、周りでも無痛分娩を行っている友達がいなければ、敢えて無痛分娩を選択する人は少ないだろう。

私も小児科医としてお産に携わることは多かったが、無痛分娩を見る機会は一回もなかった。だが、麻酔の知識もあり、無痛分娩は安全であることはわかっていたし、痛くないならばそっちの方がいいと無痛分娩を選んだ。というのは、出産に立ち会うとすごい形相で絶叫している妊婦を見るので、出産って本当に痛くて大変だなと感じていたからだ。

無痛分娩の前日

13時から絶飲食し、15時半に入院。個室の部屋に案内され、ふんどしと背中が空いてるオペ着みたいなのに着替える。

16時にナースが腕に点滴を入れる。20Gかな?けっこう痛い。私は血管が見えづらく失敗されることが多いので、1回で入れてくれてかなりほっとした。(手術などのときは20ゲージという太めの針を入れることが多い)

静脈確保の後すぐに産科の医師(外来担当医師)が硬膜外麻酔を入れに来た。背中をぐっと丸めてエビ反りの体勢になり、まずは消毒されて背中がすうすうした。次に局麻(局所麻酔)され、チクっとちょっとするが点滴や採血の痛みより全然痛くない。その後に背中に管が入る感覚があり、入ったのだと分かった。硬膜外麻酔は点滴より痛くなくて、あっという間に終わった。

テストドーズ(テスト量の少量の麻酔)を注入され、看護師に血圧等バイタルチェックされた。その後麻酔を注入され、5分ごとに右左と交互に寝返りをするように言われた。

寝返りをしていると、麻酔が効いているかのチェックしに看護師が来た。手首のあたりをつねられたり冷たいアルコール綿で触られたりして、腰のあたりの痛さや冷たさと比較される。ほとんど痛くないし冷たくない。

麻酔が効いていることが確認され、17時頃に分娩室に移動し、消毒剃毛されてミニメトロを挿入された。触られてる感じはあるが、消毒されても冷たくないしミニメトロを入れられても痛くない。このときの産科の先生はいつもの担当医ではなく、知らない男の先生だった。

18時から飲食開始し、19時にレシカル座薬(便秘の薬)を挿入し排便する。(その日に排便があればレシカル座薬は使用しないとのこと。逆にレシカル座薬で排便なければ浣腸になるらしい。)

22時にリスミー(睡眠薬)を内服し睡眠。どうしても緊張してしまって眠れなくなるから睡眠薬が処方されるのはありがたい。それでも何度かは目が覚めたが数時間は眠れた。

無痛分娩の当日

5時に起床し、トイレと洗面を済ませ、血糖値をチェックする。(私は妊娠糖尿病のため、この後も血糖値を3時間毎にチェックする。)

6時から麻酔を追加され、陣痛促進剤の点滴が始まった。

7時にミニメトロをとり、破膜される。全く痛みはない。すでに子宮口は4cm開いているとのこと。麻酔は一旦中止となる。

10時、子宮口は6cmとなり、徐々に痛みが強くなってきた。

11時、右の腰痛が強くて麻酔追加をお願いした。麻酔を追加されたら痛みは全く無くなった。陣痛は腹痛がひどくなるのかと思っていたが、腰痛が耐えられず、腰が割れるように痛くなった。こんな痛いのを我慢して産むなんてできない、良かった、無痛分娩で。

13時、子宮口は8cm。麻酔追加されてしばらく経つと腰が痛くなるので度々追加してもらった。

15時、子宮口全開。

18時、分娩。吸引になったりとかもなく、あっけなく生まれた。痛みが全くないため、いきみ方といきむタイミングを看護師に教えてもらい、数回ぐらいいきんだ後に「おぎゃあ」という泣き声が聞こえて、ああ、生まれたんだと気付いた。胎盤が出る後産があったんだろうが、感覚がないからいつ胎盤が出たか分からなかった。その後、会陰部を縫合されたのだが、これも痛みは全くない。赤ちゃんが出てくるときは必死にいきんで痛みをこらえても、その後の会陰縫合のときに叫びまくるお母さんはけっこう多いのだ。私の担当医師は会陰切開しない方針なので会陰が4cm程度裂けた。昔は会陰切開が多かったが最近は必要なときだけ会陰切開するようになってきている。

20時、飲水開始。ベッドごと個室から大部屋に移される。

21時、食事開始。メテルギン(子宮収縮剤)2錠ずつ、メイアクト(抗生剤)1錠ずつ、カロナール(鎮痛剤)3錠ずつが開始になった。マグミット(便秘薬)も追加処方をお願いして飲み始めた。というのは会陰部が痛いのに便が硬かったら想像するのも嫌だから。

分娩翌日

0時、歩行開始となり、トイレに行って排尿する。排尿後、看護師が硬膜外麻酔の管を抜いた。その後徐々に会陰部と腰の痛みが強くなっていった。カロナールを追加で飲んだけどやっぱりけっこう痛くてあまり眠れない。つらい。今までで一番つらい。

6時、初回授乳。寝ていてほとんど吸い付かない。母乳は透明な液体の分泌が少し出る。

8時、回診。ベッドで横になっているとベロッと産褥ショーツをめくられて会陰部をチェックされる。経過良好とのこと。かなり痛いけど、傷跡はきれいらしい。

痛みの経過

会陰部と腰の痛みは徐々に弱まったが、鎮痛剤は4日分の処方では足りなかったたため、追加処方してもらい、退院処方でも1ヶ月分出してもらった。結局痛みは退院後2週間ぐらいで収まったのでカロナールはけっこう余ってしまったが、頭痛や発熱時にも使えるし、処方は多めにしてもらってよかったと思う。

便通の経過

マグミットを分娩直後から服用したにも関わらず2日間ぐらい排便がなかった。やっと排便があったときはうれしい反面恐る恐るだったが、マグミットを飲んでいたおかげで柔らかい便だったので痛みはなかった。やはりマグミットは飲んでおくべきと思う。マグミットの処方をお願いしておいてよかった。

無痛分娩を選んでみて

はっきり言って無痛じゃなかったらやばかった。元々私は腰痛持ちなのだが切迫早産で安静のためベッドでずっと横になっていたせいもあり、妊娠中は腰痛がひどかった。それがお産の時はありえない痛みになってしまい、とてもじゃないが耐え切れないと思った。無痛分娩のデメリットは費用が少し高いぐらいだし、無痛という選択肢があるなら迷わず選ぶべきと思う。

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