「0〜3歳 能力を育てる 好奇心を引き出す」汐見稔幸


汐見稔幸著「0〜3歳 能力を育てる 好奇心を引き出す ほんとうに頭のいい子に育てるために必要なこと」という本を読んで、気になったことをまとめました。

「0〜3歳 能力を育てる 好奇心を引き出す ほんとうに頭のいい子に育てるために必要なこと」

汐見稔幸先生は東京大学名誉教授・白梅学園大学学長をしており、Eテレのすくすく子育てにも出演している、教育学の専門家です。汐見稔幸先生の著作の中で、0〜3歳の子育てについて書かれているのはこの本ぐらいでしょうか。2016年に出版されたばかりの新しい本で、大変読みやすく参考になります。kindle版もあって手に入りやすいです。

オススメ度 ★★★★☆
読みやすさ ★★★★★
知識量   ★★★☆☆

第一章 はじめてお母さんになる人へ

第一章では0〜3歳の子育てで能力を育て好奇心を引き出すために大切なことが12項目書かれています。その原則を頭の片隅に置いておくとよいでしょう。12項目のうち数項目をまとめました。

子どもは自分で自分を伸ばす力がある

子どもは好奇心旺盛で自分でどんどん伸びていこうとします。しかしその伸び方は一様ではありません。子どもの伸びる力を伸ばすには、子どもの好奇心の対象を親も一緒に観察したり共感したりすることが大事です。親が前に出て先に立ってしまっては、子どもは受け身な人間になってしまいます。親が子どもの前にいて引っ張るのではなく、子どもが進む道を後ろや横から支え、励ましてやるということが大切です。

子どもには生まれつきのタイプがある

赤ちゃんには生まれつきのタイプがあり、神経質で手のかかる子どもや図太くて手のかからない子どもなど、様々なタイプがあります。日本の調査では手がかかる子どもは34%で、遺伝や育て方ではなく、一定の割合で生まれてくるようです。すぐ泣き出したり、夜泣きが激しかったり、手がかかる子どもは大変ですが、そういうタイプだからしょうがないと開き直って付き合うのがよいでしょう。

具体的な褒め言葉が個性を伸ばす

子どもを褒めるとき、「がんばったね」や「よくできたね」だけではなく、具体的に褒めてあげるのがよいでしょう。具体的なところをたくさん認めて共感してあげれば、その子らしさ、つまり個性が伸びるのです。例えば、上手にあいさつができたら、「おりこうさんね」ではなく、「いいあいさつだったね」と言ってあげるとよいでしょう。

赤ちゃんはわがままではなく、自己主張をしている

2歳くらいまでの子どもにはわがままはありません。思いの強い子は一見わがままのようにふるまってトラブルを起こしますが、それは自己主張が強い子どもということなので、そういう子は将来が楽しみなのです。

子どもの可能性を信じよう

子どもの可能性を信じ、いつもあたたかいまなざしを向けていたいものです。いたずらをしても、「何をしているの!やめなさい!」ではなく、「どうしてそんなに好きなのかな?」「お母さんはあなたのことがおもしろくてたまらない」とあたたかく共感的に観察するまなざしを持っていれば、子どもは自分に自信を持って育っていきます。何をするのにも人よりおそくしかできないとしても、「のろまな子」と見るのではなく、「すべてをていねいにする子」「一つ一つを味わいながらやる子」と見て、伸びていく可能性を信じるのです。そう信じると、子どもは本当にそうなっていくのです。子どもは親のことをよく見ているので、親の自分への信頼感が何よりも大切です。

体を動かして感性豊かな体を育てよう

最近は体を動かす機会があまりなく、エネルギーが有り余っている子どもがいます。意識しないと体がうまく育たない時代なので、ひと時代前の環境で子育てするというくらいのつもりで体をしっかり使わせるのがよいでしょう。年齢×km数くらいは毎日歩かせるのがよいです。1歳児なら1km、3歳児なら3kmは歩けます。丈夫な体を作ると同時に、感性豊かな体も育てるようにしましょう。散歩しながら草花に触ったり、川で水の冷たさを感じたり、道具を使って物を作ったりと、体を使って様々な体験をすると好奇心が豊かになります。

第二章 育児を楽しみながらの心育て、能力育て

第二章では、月齢別・年齢別に赤ちゃんの育ちの特徴と、能力を伸ばす子育てでたいせつなことが書かれています。その中でいくつか抜き出してまとめてみました。

0〜6ヶ月頃

泣いたら放っておかずにやさしく対応する

赤ちゃんが泣いたら、そのまま放っておかないで、声をかけて対応してあげましょう。「どうしたの」と赤ちゃんのそばまで行って、「おしっこが出たのかな」などと声をかけながらやさしく接してください。この行為を繰り返しているうちに、赤ちゃんは泣くという表現手段で何かを訴えると、必ずあたたかく対応してもらえて、自分を気持ちよくしてくれるという因果関係を学ぶことができるのです。泣いても放っておかれたら、赤ちゃんは泣いても誰も来てくれないということを学習し、何をやっても無駄なんだという気持ちが植え付けられてしまいます。その結果、赤ちゃんは次第に親とのコミュニケーションをしようという意欲をなくしてしまい、自発的に何かをしたいという意欲に欠けた子になってしまいます。

積極的な言葉かけをする

赤ちゃんは一生懸命お母さんの言葉を聞いています。言葉と行動のつながりも理解できるようになるので、積極的に言葉かけをするようにしましょう。

7〜12ヶ月頃

手指をいっぱい使わせよう

おすわりすると、いろいろなことができるようになるので、手指をいっぱい使わせてあげましょう。この頃の赤ちゃんはつかんだりつまんだりするのが好きなので、おもちゃを一方のてから他方に持ち替えたり、両手のおもちゃを打ち合わせたり、わざと落としたり拾ったりします。お母さんと赤ちゃんでおもちゃをやったりもらったりする遊びができるようになると、コミュニケーションが双方向のものに発展します。おもちゃは手指の練習になるものを用意してあげるとよいでしょう。はいはいを誘うボール、音が鳴る楽器の他、木製のしゃもじやなべのふた、持ち手のついたコップなどの生活用品も大好きです。手指は使えば使うほど器用さが増していきます。

体を触れ合うコミュニケーション遊びをしよう

大人と赤ちゃんが体を触れ合って遊ぶ「チョチチョチあわわ」や「一本橋こちょこちょ」「たかいたかい」などは、スキンシップを高め、コミュニケーション体験を深めることになるので非常に大事です。おもちゃのいらないコミュニケーション遊びは、病院で順番を待っている時や乗り物の中でもできるので、大いに活用するといいでしょう。

第三章 子どもはだれでも問題児

第三章では、子どもはみな問題児で、問題児だからこそ好奇心旺盛で個性豊かな人間に育っていくと、いたずらなどにどう対応するかが書かれています。

いたずらと好奇心

赤ちゃんにとっていたずらと好奇心は表裏一体で、大人にはいたずらにしか見えなくても子どもにはすべて探究心の表れです。1歳を過ぎて、自由に移動できるようになった赤ちゃんには、触るもの見るものすべてが新鮮で、大人が考えるよりはるかにハラハラ、ドキドキしています。「これは何だろう」と思ったらとりあえず舐めてみたり掴んでみたりして、五感のすべてを使って活動しています。子どもの探究心を満足させるために、いたずらはできるだけおおらかに保証してあげてください。あるところまではさせてやり、これ以上はダメという境界を決めておくと良いでしょう。ちなみに幼い子どもの興味のあるものベスト3は、1位が水、2位が穴、3位が棒です。水道の蛇口をいたずらしたり、水たまりに入って飛び跳ねたりが大好きです。こういった探究心を規制してしまうと、子どもが大きくなったときに自分の興味関心からこんなことをやりたいという心のベースが育っていないということになりがちです。やる気のない子どもになってしまうのです。

叱り方・褒め方

子どもを叱るのはどんなときか調べてみると、最も多いのは、子どもが親の期待したように行動しないときでした。今の世の中は、子供に対する要求水準が高く、子供はこういうふうであってほしいという親の狭い価値観で作ってしまい、その通りにならないと子供を叱ってしまいます。イライラせず叱らないですむ基本的なコツは、親のレールの方に引き込み過ぎないことです。子どものすることに期待してこう育てなくてはと思うとイライラするし子供を叱ってしまいます。何の予断も作らず、子供がやることを面白がって眺め、観察するように接するといいでしょう。

第四章 赤ちゃんの脳の発達と早期教育

第四章では、早期教育が子どもの能力を伸ばせるかどうかについて書かれています。早期教育は必要なのでしょうか?早期教育によってどういった大人になるのでしょうか?お母さんなら気になることが書いてあります。ぜひ読んでみてください。

第五章 こんなときどうすればいい?ケース別Q&A

第五章では、日常子育てで気になる疑問に対して丁寧に解説しています。運動オンチは生まれつきなの?左利きは直したほうがよい?などの質問に詳しい説明がされています。

第六章 ほんとうに頭のいい子に育てるために必要なこと

子どもの能力を伸ばし、好奇心を引き出すために、心に留めておきたいことが書かれています。その中の2つの事柄をまとめました。

子ども自身の伸びる力を信じる

子どものすることにすごいなと感動し、あたたかく見守るだけで、子どもはずんずん伸びていきます。親が一生懸命に誘いをかけても、子どもの興味のないことだとうまく乗ってくれないので、お母さんは自信をなくしてしまいます。しかし、子どもが興味を発見し、それに親が共感してやると、子どもはいつの間にかのびのびと育っていくので、お母さんは自分の育児に自信を持つことができます。その結果、子どもはこう見ているんだななど新しく発見できることもあり、育児が楽になります。

好奇心を育てる

好奇心を育てることで最も大事なのは、子どもの先回りをしないで、子どもの好奇心の後ろからついていくことです。子供に十分に探索の体験をさせ、お母さんは危なくないようにサポートして、子どもの必要や求めに応じて対応してやればよいのです。好奇心を満足させてやる気を育てる育児というのは、親がゆったりとした気持ちで子供に接してやり、子どもの求めを存分に満足させてやる育児です。子どもと一緒に好奇心をふくらませながら歩くのは今しかできない貴重な体験ですし、子どもを観察して「今日はこんなことができた」といった新鮮な驚きの連続で、毎日楽しく育児をすることができます。

この本を読んで私が思ったこと

ついつい親がレールを敷いてその上を進むのが楽だよと子どもを誘導してしまいがちです。私自身、母親に手取り足取りと教えられ、母親が先立って周囲の環境を整えるような状況で育ったので、受動的で優柔不断な人間になってしまったと思います。途中でかなり反抗し、母親を反面教師のように捉え、大学入学を機に家を出てしまったので、現在は自立していますが、あのまま母親の言いなりになっていたらどうなっていたかと怖くなります。同様に、私の友人で、開業医の子息のため医学部に入って医者になる以外の選択肢が閉ざされ、性格が曲がってしまって投げやりな人生を送っている人もいました。そういったことから、私は自分の子どもに医者になってほしいとか一流の大学を出てほしいとは思っていません。自立して自分のことができる人間になってほしい、自分の納得のいく人生を送ってほしいということが、私が子供に対して思うことです。でもきっと今後あれができるようになってほしい、これができないとと子どもに対していろいろ思ってしまうことでしょう。そうなる前にまた読み返したい一冊です。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする